「コンプレックスがあっても恋はできる|中学生のときの私の話」

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恋することが大好きだった私

私は恋をするのが大好きで、好きな人のことを思うだけで一日じゅう幸せな気持ちで過ごせました。

友達と飽きることなく恋の話で盛り上がった時間は、なによりも一番楽しかったです。
そんな時間の中だと、自分にコンプレックスがあっても、何のハードルもなく
みんなと同じように恋を楽しめるんだと感じていました。

中学時代、恋が少し怖くなった日々

けれど、異性に“匂いのこと”をからかわれるようになって、少しずつ恋が怖くなっていきました。
体育の時間にボールを打とうと腕を上げたとき、笑いながら鼻を摘まれるような仕草をされたこと。
廊下ですれ違うときに、小さな声で「なんかクサイ」と言われたこと。

ある日、大きな声で「匂いがする!」と笑われた瞬間、
その言葉が教室中に響き渡って、体が固まってしまいました。
心臓がギュッと痛くなり、顔から血の気が引いていったのを、今でも覚えています。

それからは、私の“匂いの悩み”が自然と広まっていったようで、
廊下ですれ違うたびに視線を感じたり、ひそひそと話されることが増えていきました。

まだ幼かった私の心には、深い影が落ちていったのです。

それでも勇気を出して

その頃に私が好きになった人は、本を貸し借りして自然に仲良くなっていった男の子でした。
「彼のことが好き。まだ恋を諦めるのは早いよね…」友達の応援もあって、
思い切って勇気をだして気持ちを伝えることができたのです。

けれど、返ってきたのは「ごめん」という短い言葉だけ。

それからしばらくして、人づてに「もう関わってほしくないと言っていた」と耳にしました。
その瞬間、頭が重たくのしかかるような感覚がありました。

「私はもう、恋できないのかもしれない…」と思い込んでしまうほどの大きなダメージを受けました。

本物の想いに出会って

暗い気持ちで毎日を過ごしているなか、
私の世界に光を差し込んでくれる人が現れたのです。

それは、たったひとりありのままの私を好きでいてくれた男の子でした。

自分の“匂いの悩み”が広まっていた当時の私にとって、
そんな出来事は信じられないほど嬉しいことでした。
純粋に「好きだ」と思ってくれる気持ちがまっすぐに伝わってきて、
気づけば私も彼に惹かれていったのです。

彼は誰の前でも態度を変えることなく、
いつも自然に私のそばにいてくれました。
周囲の噂や視線を気にすることもなく、
ひとりの女の子として、私をまっすぐに大切に扱ってくれたのです。

学校に行くたびに「今日は何を言われるんだろう」と
胸がぎゅっとなる日々の中で、
彼が変わらず笑ってくれていたおかげで、
少しずつ心を取り戻すことができました。

彼の存在は、当時の私にとって大きな救いでした。
「相手に想ってもらえる幸せ」の意味を、初めて知った瞬間だったのです。

そして、彼と過ごすうちに私自身も
「どんなときでも誰かの味方でいられる人になりたい」
そう心の底から思えるようになりました。

二人で過ごした思い出

お休みの日には、一緒に図書館へ行って並んで本を読んだり、帰りにスーパーでアイスを買って
ベンチに座って食べたりしました。
そのとき、隣でアイスを持つ彼の手が震えているのに気づいたんです。
緊張しているのが伝わってきて、「ああ、この人は本当に私のことを想ってくれているんだな」と、
胸の中が幸せでいっぱいになりました。

アイスは少しずつ溶けてしまい、彼はアイスまみれになっていたけれど、その不器用さがかえって愛しくて、
私の心を優しく包んでくれました。

手をつなぐことさえなかった純粋な恋。
あの小さな場面は、今でもかけがえのない大切な思い出として胸の中にしまっています。

数年後、お別れすることになってしまったけれど、その理由はワキガではありませんでした。
きっと、彼の想いは本物で、私は“ありのままの自分”を受け入れてもらえたんだと思います。

匂いは「欠点」ではなく…

そして後になって知ったのは、「魅惑的」「惹かれる香り」とワキガの匂いを表現する人がいるということ。
もしかすると、彼にとって私の匂いは魅力のひとつだったのかもしれません。

彼に、ワキガのことを直接たずねたことは一度もありません。
彼がまっすぐに想いを伝えてくれたときも、「どうして好きになってくれたの?」と理由を聞いたことはありませんでした。
けれど、私の体の香りが彼にとっては心地よく感じられていた可能性もあるのです。

真実はわからないけれど――。
それもまた、好きでいてくれた理由のひとつだったのだと、今では思えるのです。

ワキガでも恋ができること、人に大切にされること。
それは「特別なこと」ではなく、誰にとっても当たり前にあっていいことなんだと、彼との思い出が教えてくれました。

伝えたいありがとう

あの日の彼に、もしまたどこかで会えるのなら――
「ありがとう。私が今も笑って過ごせているのは、あなたのおかげだよ」
そう伝えたいです。

まとめ

人は誰でも、コンプレックスを抱えながら生きています。
けれど、そんな自分をまるごと受け止めてくれる人に出会えたとき、恋はより深く、
くなるものだと私は知りました。

ワキガだからといって恋ができないわけじゃない。
むしろ「香りも含めて自分」だと受け止められたとき、本当の意味での幸せを感じられるのだと思います。

Love is about accepting someone as they are, including every part of them.
(愛とは、その人を丸ごと受け入れること ― 香りも含めて。)

“自分のコンプレックスと向き合う勇気”をくれた。
[高校時代、失恋で傷ついても前を向けた理由](関連記事)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました

わきキュートのにおいケアラボの運営者

自分のワキガ体質に悩みつつも、「どうせなら楽しく生きたい!」と思って工夫を取り入れています。
リアルな体験をもとに、においケアや日常で役立つことをお話ししています🎀

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