高校で出会った、まぶしい笑顔
高校に上がってすぐ、私は一目惚れをしました。
クラスの中でひときわ輝くような、明るくて社交的な男の子。
いつも周りに友達が集まっていて、
その中心で笑っている姿が本当に眩しかったんです。
私は、脇汗や匂いで自分にずっとコンプレックスを感じていました。
だから、彼のようなタイプの人とはきっと縁がないだろうと思っていたんです。
けれど、そんな私に一番話しかけてくれたのが、彼でした。
休み時間になると、わざわざ私の席まで来て、
下から見上げるように笑顔を見せながら話しかけてくれる。
その瞬間のまぶしさに、何度も胸がドキドキしました。
しだいに少しずつ打ち解けていき、
テストの点を比べて冗談を言い合ったり、
放課後にちょっとした話をしたり。
その何気ない時間が私にとっては特別で、すごくすごく、幸せでした。
花火大会の夜
そんなある日、彼から「夏祭り、一緒に行かない?」と誘われました。
その言葉を聞いた瞬間、大袈裟ではなく本当に、世界がパッと明るくなった気がしました。
信じられないほど嬉しくて、
花火大会の日まで浮かれっぱなしで、頭の中は毎日彼のことばかりでした。
当日、夜空に上がる花火を見上げながら、
彼と笑い合った時間は、本当に宝物のようでした。
屋台の明かり、浴衣のすそを揺らす夜風、
人混みの中で彼と手と手が触れ合う距離で歩いた。
全部がまぶしくて、
「この時間がずっと続けばいいのに」と心から思いました。
その夜から、私は確信していました。
“きっと彼も同じ気持ちでいてくれている” と。
すれ違いと別れ
けれど、花火大会のあとから、
なぜか彼の態度が少しずつ変わっていきました。
目が合ってもすぐにそらされるようになり、
話しかけてもどこかよそよそしい。
そんな中、クラスの女の子に呼ばれて言われたんです。
「彼、あなたのこと好きみたいだよ。思い切って告白してみなよ」
信じたい気持ちでいっぱいでした。
あの夏の夜の思い出が本物だったと証明したくて、
私は勇気を出して、手紙で自分の気持ちを伝えました。
でも返ってきた答えは――
「ごめん。まだ忘れられない人がいるんだ」。
その瞬間、胸の奥に何かが突き刺さったような感覚がしました。
息が止まるみたいに、言葉が出てこなかった。
悔しくて、恥ずかしくて、呆然とするしかなかった。
立ち止まって、考えたこと
そのとき、私は思いました。
もしかして、彼は私の“コンプレックス”に気づいていたのかもしれない。
それが原因で、距離を置かれてしまったのではないかと。
そう考えるたびに、悔しさと恥ずかしさで胸がいっぱいになりました。
でも同時に、「このままの自分でいたくない」とも思ったんです。
あの出来事をきっかけに、
自分とちゃんと向き合うようになりました。
そして、少しずつだけど――
“自分を変えるための一歩”を真剣に考えるようになったんです。
今思えば、あのときの出来事が
私の背中を強く押してくれたのかもしれません。
あの出来事がくれた勇気
私はずっと抱えていた“身体の悩み”と真剣に向き合うようになりました。
これまで目をそらしてきたけれど、
「自分を好きになりたい」「もう一歩前に進みたい」
その気持ちが私の背中を押してくれました。
少しずつ調べたり、勇気を出して行動していくうちに、
心の中にあった不安が、少しずつ希望に変わっていったんです。
いま、あの頃の私に伝えたいこと
失恋はつらいし、心に傷も残る…。
でも、それを経験したからこそ見える景色もある。
あのとき泣いていた自分に、今の私は伝えたい。
「大丈夫。ちゃんと笑える日がくるよ」って。
そして儚い夏の思い出に、
今なら心から“ありがとう”と言える気がします。
痛みの中にあったあの気持ちが、
私をつよくしてくれたから。
おわりに
人は誰でも、少しずつ変わっていける。
傷ついた経験が、次の一歩の勇気になることだってある。
あの夏の出来事は、私の人生の中で
「自分が、一番自分を好きになってあげよう」と思えたきっかけになりました。
もうあの頃のように泣くことはないけれど、
もし同じように悩んでいる人がいるなら、
私はそっと伝えたいです。
――“もっと、自分を優先してあげてね”
“Even the pain you carry can bloom into strength one day.”
(あなたが抱える痛みも、いつか強さとして花開く日がくる。)
「もし“自分に自信を持てない恋”で悩んでいたら、こちらの記事も読んでみてください。」
[コンプレックスがあっても恋はできる|中学生のときの私の話](関連記事)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました