障害者支援の仕事に就いていた頃、毎日よく動き回っていました。
夏場は特に汗との格闘が続き、制服の下のシャツはすぐ湿りがち。
あまりの暑さから、冷凍庫でカチカチに凍らせたタオルを首に巻いて出動することもありました。
その姿は、まるで炎天下で作業する大工さんそのもの。最初は同僚たちも「えっ!?」と驚いていましたが、
しだいに「今日もやってるな」と見慣れたようで、気づけば私の夏の通常スタイルとして定着していました。
そんな工夫をしても、頑固な脇汗だけは止まらず、毎日の大きな悩みのタネに…。
そこで試してみたのが「脇パッド」だったのです。
初購入は忍者スタイル
初めて脇パッドを買いにドラッグストアへ。
ついつい自意識過剰になってしまい、売り場で商品を手に取るだけなのに妙にソワソワ。
まるで全員が「お、買うのか?」と私を観察しているように感じてしまうのです。
私はまるで忍者のように、誰にも気づかれぬうちにシュッとかごへ滑り込ませました・・・が、歩きながらも、
「私は脇汗がひどい人です!」と全身で宣言しているような気分に襲われました。
許されるならこのまま持って帰りたい――そう心で叫びながらも、おとなしくレジに並びました。
そして、商品に大きく書かれた「脇パッド」の文字が周囲に見えてしまわないかドキドキしながら、
裏返すようにしてそっと差し出し、なんとか購入を終えたのでした。
衣服に貼り付けて汗を吸収する薄いシート。パッケージには「もう汗ジミを気にしない!」と、
心強い文言が並んでいます。
半信半疑で購入した私は、「これで少しは救われるかも」と胸を躍らせました。
雑すぎた私の装着スキル
ところが、当時の私は装着の経験ゼロ。慣れないせいか扱いは大雑把で、
「まあ、こんな感じで貼ればいいでしょ」と楽観的。きちんと位置を整えることもなく、
軽い気持ちで使っていました。そんな油断が、のちの“事件”へとつながります。
一度目の落下
ある日の勤務中、ふと足元に目をやると床に白いシートが落ちていました。
よく見ると、それはまぎれもなく私の脇パッド。思考が一瞬止まり、「なぜここに?」と心臓が跳ねました。
一気に血の気が引き、「誰かに見られたらどうしよう…!」と頭の中はパニック状態。
幸い、その場では誰も気づいていない様子でしたが、私はまるで刑事ドラマの証拠隠滅シーンのように、
何食わぬ顔でサッと拾い上げ、何事もなかったかのようにゴミ箱へポイ。
外から見れば冷静そのものですが、内心は嵐のように動揺していました。
――「なるほど、貼り方ってこんなに大事なのか」
この日、私は初めて“正しい装着”の重みを実感することになったのです。
二度目の落下
しかし、学びはなかなか定着しないものです。数日後、またもや床にポトリと落ちる白い影。
よりによって今回は同僚の目の前で――。
「これ、何だろう?」
その瞬間、私の脳内アラームは一斉に鳴り響きました。
まるで非常ベルの横で仕事をしているかのように、心臓は暴走モード。
顔はカチコチに固まり、口から出たのは「えっ、あっ、それは…あの…」と、意味不明な音の連打。
自分でも「何を言ってるんだろう」とツッコミを入れたくなる始末です。
床に落ちたパッドはというと、白々しく存在をアピールしながら転がったまま。
私はそれを横目に、まるで「これは私のものじゃありませんよ」と心の中で必死に否定。
けれど、同僚の視線は確実にそこに注がれていて、強制的にスポットライトを浴びせられた気分でした。
正しい使い方を学ぶ
この経験を経て、私はようやく真剣に脇パッドと向き合うようになりました。
製品には種類があり、衣服に貼るタイプ、下着に付けるタイプ、肌に直接貼るタイプなどがあります。
自分の体質や服装、動きの多さに合わせて選ぶことが肝心でした。
さらに装着の際は、位置を確認し、しっかり密着させ、動いてもズレないか試す。
ほんの数秒の丁寧さが、1日の安心を左右することを知ったのです。
おわりに
便利なアイテムも、雑に扱えば“事件”に早変わりします。
私の「脇パッド落下事件」は少々気恥ずかしい出来事でしたが、今では笑い話のネタのひとつになっています。
同じ悩みを持つ方にとって、この失敗談が小さな参考になれば幸いです。
どうか今日の一枚は丁寧に。落ちない一日でありますように。
Remember, even small slips can turn into big laughs later. Take it easy, and stay confident.
(小さな失敗も、あとから笑い話になるものです。気楽に、自信を持って過ごしましょう)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました